宝物〜絆〜
 そして次の日。一夜を明かしても、正体不明な胸騒ぎが治まる事はなかった。

 外は私の気持ちをそのまま表したような、どんよりとした天気。

 これじゃ、また秀人に突っ込まれるな、と、一人苦笑しながら気合いを入れ直し、勢いよく玄関のドアを開けた。

――と、ゴンッという音と共に、ドアノブを持つ手に衝撃が伝わってきた。

「……ってえー。あっ。おっす、美咲」

 ドアの前には秀人が居て、頭を押さえながら苦笑している。

「あっ、わり。大丈夫か? つか目の前に居んならインターフォンくらい鳴らせば良いだろ?」

「だから今、鳴らそうと思ってたとこだよ」

 若干、ふて腐れ気味の秀人。

「そうか。悪かったな。じゃ、行くか」

 とっとと鍵を閉めて歩き始めると、後ろで「全然、悪いと思ってねえな」などと呟いているのが聞こえてきた。

 こうして今日も秀人と共にバイトに向かう。

 バイト先に着いて休憩室に入ると、店長とパートの永田さんが居た。これは日曜の朝お決まりの光景。

 店長は鼻歌混じりに煙草を吹かしているし、日曜と平日の週四日勤務の永田さんは、コーヒーを飲みながら雑誌を読んでいる。

 そんないつもと変わらぬ日常の光景の中、いつもと違う事が一つだけあった。
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