宝物〜絆〜
 そうと決まれば次はエプロンをどうするか。

 昨日忘れてないのに、今日忘れたっつったら不自然だよな? でも忘れた以外に思い付かねえし、仕方ない。

「店長。すみません。昨日、間違えてエプロン持って帰っちゃったみたいで。今日貸してもらえませんか?」

「エプロン? 持って帰っちゃったんだ。てか美咲ちゃん、普段はしっかりしてるのに、たまに間の抜けた事するよね。了解。ちょっと待ってて」

 店長は一瞬キョトンとした顔になったけど、すぐに了承してくれた。

「ハハ。私は普段からボケてますよ」

 苦笑いで返すと、店長は煙草の火を消して備品が入ったロッカーに向かう。

 ふと秀人を見ると、不審な顔つきでこっちを見ていた。そりゃそうだよな。昨日、私がエプロンを持って帰ってない事、知ってんだし。

 “言わないで”という合図のつもりで首を横に振ったら、察してくれたようで、怪訝な顔をしながらも頷いてくれた。

 私は自分のロッカーを軽く閉めて店長の後に続く。

「はい、美咲ちゃん」

 店長が手渡してくれたのは新品のエプロン。

「いや、これ、新品じゃないですか。借りるだけなのに、こんなん使えないですよ」
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