BirthControl―女達の戦い―
あの施設で行われている全てのことを総理から一任されていた。


そして遥香のことも……


あの施設にいることを知るごく一部の者達に、どうしているのかを確認することが出来ているのだ。


「大臣、今日の予定は会議が終わり次第、3時には会見がございます

その後7時からは会食となっておりますが、大丈夫でしょうか?」


秘書の夏木は38歳という若さで、頭の切れるとても有望な男だ。


本来なら遥香にと思っていた。


夏木には申し訳ないことをしたというのに、あれから変わらず秘書として譲を支えてくれている。


「では参りましょう」


夏木がドアを開けて誘導してくれる。


今日の会議は本腰を入れて、かからなければならない。


追加法案をまとめるためだ。


三年で離婚させるという法律は、とても成果があった。


新しいパートナーを見つけ、子供はさらに増えていく。


その裏で悲しんでるごく少数の意見なんて聞く耳を持つ必要もない。


あの日、遥香が下した決断が何のためだったのか、悲しいことに譲には何も通じていなかった。


これから向かう会議室で議論される法案が、また遥香を悲しませることになるなんて、譲は知るよしもなかった。



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