BirthControl―女達の戦い―
こんな時のために、隠し部屋を用意しといて良かったと要は思った。


この森を抜けてきたことで、二人とも服は泥だらけであちこち破けている。


このままで町に戻れば、間違いなく逮捕されるか、もしくは射殺されてしまうだろう。


あの組織の首謀者だと言ってるようなものなのだから。


ようやく呼吸が整うと、先程の光景が頭に甦ってくる。


あそこを離れたせいで、奴らに狙われてしまった。


たぶん……


遥香以外はみんな生きてはいないだろう。


「くそっ……!」


地面を拳で思いきり叩きながら、要は自分を責めていた。


「そんなに自分を責めないで?

私達がいたところで、一緒に殺されてたかもしれないわ?

そしたら遥香だって生きてられないかもしれない……

あの子はちゃんと自分の意思を持ってた

ただの代議士のお嬢ちゃまだと思ったらとんでもない

自分の親といえど、間違ってることは間違ってるって言える子よ?

私達まで巻き添えになってたら、責任感じて命を絶つ可能性もあったはず

だったら、私達はこれからのことを考えなきゃ

殺された仲間の無念を晴らせるのは私達しかいないんだから

仲間を……殺されたことを責めるより、遥香を助けることが出来たんだって……

そう思わなきゃ」



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