BirthControl―女達の戦い―



パソコンの画面とにらめっこしながら、梨央は溜め息をついた。


もう何日こうしてるだろう。


先日の仕事で稲田から聞き出した情報は、梨央と要にとって驚くべきものだった。


あの遥香が、あのあとすぐOldHomeに住み込みで働くようになったという事実は、自分達を忘れていなかったということに繋がる。


最後の電話で遥香が言った言葉が鮮明に思い出された。


『私はいつか二人の役に立てるように、自分にしか出来ないことをやってみせるから』


あの子は自分の言ったその言葉を、きちんと実行に移したのだ。


あの麻生がそれを許すくらいだから、もしかしたら自分の命も投げ出した選択だったのかもしれない。


親と決別するという判断は、きっと仲間を殺される様を見ながら固めた決意だったんだろう。


それまで親に逆らわず、いい子でいたはずの遥香にとって、あの出来事は彼女の中の何かを変えるほどのものだったのだ。


今度は自分達が、遥香が作ってくれたパイプを生かして行動を起こす番だ。


二人だけになってしまったけれど、梨央も要も仲間を増やすつもりはない。


< 167 / 406 >

この作品をシェア

pagetop