BirthControl―女達の戦い―
もう仲間を失いたくないという思いと、自分たちが犠牲になればそれで充分だという思いが、そうさせているのかもしれない。


遥香も巻き込みたくはなかったけれど、これから自分たちがやらなければいけないことには、遥香の協力が不可欠だった。


そのために遥香があの施設にいるんだとすれば、仲間だと認めざるを得ないのだけれど……




カタカタとパソコンのキーボードを叩きながら、梨央はなかなか進まないハッキング行為に苛々していた。


元々それが専門なわけではないため、顧客を掴む程度の操作は出来ても、OldHomeのデータともなると、何重にもロックされていて破ることが出来ない。


お手上げだというように、動かしていた手を止めてドサッと椅子に体を預ける。


ふぅ……と大きく息を吐いて目を閉じていると、背後から声をかけられた。


「やっぱり難しそうか?」



その声で目を開けて、仰け反るように後ろを見ると、要がコーヒーの入ったカップを持って立っていた。


「ありがと

ちょうど休憩しようと思ってたとこ」


そう言ってカップを受け取り一口啜ると、疲れた体に染み渡る。


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