BirthControl―女達の戦い―
B棟を出て、暗証番号を変えると指紋認証でロックをする。


万が一にも誰かに開けられることがあってはならないため、高志はここでの作業を終えると暗証番号を変更することが毎日の日課になっていた。


基本的にこの操作室には、高志本人しか入れないことになっている。


厚生労働省の役人や大臣などこのシステムを知る一部の人間が視察に来れば別だが、そんなことは高志がこの施設を任されてから一度もなかった。


そのためここに繋がる通路への扉は、高志の部屋のすぐ横に設置されている。


高志の部屋自体も居住区などからは少し奥まった立入禁止区域にあるため、人の出入りは滅多にないのだ。


A棟に繋がる通路を歩きながら、高志はいつものように電話をかけた。


プルルルル……プルルルル……プルルルル……カチャ


「麻生だ」


「お疲れ様です

青柳ですが、今日の人数は一人だけでした」


「そうか……

やはり人数が減ってきているな……

だが、今回の法案が通れば75歳に引き下げられる

だからもうしばらく辛抱してくれないか?」


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