BirthControl―女達の戦い―
ピピッ、ピッピッピ……
ゴゴゴゴゴッ、ガッガーン……
「ふぅ……」
いつものように一連の作業を終わらせると、高志は一息ついた。
もう何年この作業を繰り返しただろう。
この仕事を与えられたばかりの頃は、自分が認められたんだと嬉しくて張り切っていたのを思い出す。
国家機密であるこの施設での管理を任されたのだから、誰だってそう思うに違いない。
けれど今となっては、天涯孤独で家族も持ちそうにない自分の身の上が、上層部からしたら都合が良かったんだとわかる。
うっかり家族に漏らしてしまうことも、自分から誰かにリークすることも、気弱な高志には出来ないと判断したんだろう。
しかし……
高志はここ最近、自分のやらされている仕事に疑問を持ち始めていた。
どんどん厳しくなる要求にも、応えることが難しくなってきている。
以前は山のようにいた高齢者の数も年々減り始め、80歳を迎える者は月に10人くらいとなっている。
ストックはあるにはあるが、これから先予算が増えなければ、OldHomeの運営が厳しくなることは目に見えていた。
「はぁ……」
これからのことを考えると気が重くなる。
けれど高志にはそれを上に陳情出来るほどの勇気はない。