BirthControl―女達の戦い―
先程の久枝のカプセルがベルトコンベアーに乗って移動しているのが見える。


それを目で追いながら、今度はゆっくりと全体を見渡した。


巨大に張り巡らされたベルトコンベアーには久枝が眠るカプセルと同じようなものが、何百と並べられ、規則的に動いている。


そのカプセルの行き着く先には、赤々と炎が上がり、カプセルたちを今か今かと口を開けて待っているようでもあった。


そう、B棟の正体は火力発電を行うものだった。


人間が死んだときに発生するわずかなガスを使って、電力に変えるよう作られた、遺体処理と発電が同時に行える優れものだ。


本来は天然ガスなどで行われるものだが、当初から高齢者の数を減らす計画だったために、2つ同時に行えるこの装置を開発することに成功した。


もちろん、本来のものよりは微力だが、この施設が出来た当初は、高齢者の数も莫大なものだったため、なんとか賄えていたのだ。


今では供給力が足りずに、別の電力を当てにするしかなかったが、その料金は年々高額になっていき、施設の運営を逼迫していた。


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