BirthControl―女達の戦い―
「……わかった

久枝さんにカメラを預けることにします

でも……

私は最後まで諦めない

要さんや梨央さんの言うことは、私もわかってるけど、やっぱり久枝さんを見殺しには出来ないと思うから……」


遥香の苦渋の選択に梨央たちは何も言えなかった。


ただ見守るしか出来ないことが、こんなにも辛いなんて……


あの時も今も、遥香は一人で戦っているんだと思った。


あの時は梨央たちを……


そして今は久枝さんのために……


「私たちも出来るだけのことはするつもりだ

実行される日には、丸山先生も待機させる

何かあれば指示を出すことも可能だ

だから遥香……

頼むからお前も無事でいてくれ」


要の思いは、そのまま梨央の思いでもある。


久枝のために最善はつくすつもりだ。


だから遥香には必ず生きていてもらわなければ困る。


しばらくの沈黙の後、遥香はようやくいつもの遥香に戻って、うんと返事をした。


それから真剣な声で私たちに呟く。


「二人を信じてる……」


その言葉の重みを感じながら、久枝を救えなければ、遥香も救えないかもしれないという不安を、梨央たちは最後まで拭うことが出来なかった。

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