BirthControl―女達の戦い―
「ご無沙汰してます

裕之ですが……

あの、しのぶたちは変わりないでしょうか?」


「裕之さん、ご無沙汰しております

貴和子でございます

もしかして……ご覧になられましたか?」


貴和子はすぐ察したように、そう聞いてくる。


「やはり、あれはお父さんでしたか……

いったい……どういう……」


「私どもも詳しく聞かされてないんです……

ただ、OldHomeに何かあったことだけはわかるんですが……

でもあの映像を見られてからすぐ 、奥様とお嬢様はお出掛けになられました

たぶん……OldHomeに向かったんではないかと……」


(なんだって?

それじゃ危険の中に飛び込んで行くようなものじゃないか!)


「大丈夫だと思いますよ?」


俺の不安を察したのか、貴和子はそう確信めいたように言った。


「なんでそう思うんですか?

そんなことわからないじゃないですか!」


貴和子がのんびり構えていることについ苛々して語気を荒げてしまう。


「たぶん、OldHomeの周りは今頃たくさんの記者や野次馬に囲まれているんじゃないでしょうか?

だとしたらそんな中で、何か危険な行為する人がいるとは思えません」


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