BirthControl―女達の戦い―
(……打ち切られる!?

まさか!子供手当てが?)


嘘だろ?と文雄は前に乗り出してテレビを見つめた。


何度聞いても同じことしか言っていない。


文雄は血の気が引いた。


70歳でOldHomeに入るまでの間、お金に苦労することなく生活出来るはずだったのに……


そのために礼子に子供を三人も生ませたと言うのに……


今さら給付金なしでどう暮らせと言うのだろうか?


妻は体が悪いし、自分は今仕事にもついていないのだ。


子供三人を抱えてこれからどうすれば……


「ただいま」


妻が買い物から帰ったようだ。


リビングに入ってきた妻の顔を呆然と見る。


「どうしたんですか?あなた」


「あ、いや……その……」


しどろもどろになりながら、どう説明すればいいのか迷った。


うかない表情の夫に、妻は心配して近づいてくる。


ちょうど妻の視界にテレビの画面が入ってしまった。


さきほどから繰り返されている政府の重大発表が、自分が伝えるまでもなく垂れ流される。


「あなた!これどういうこと!?

そんな……私たちこれからどうやって暮らしていけば……!」


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