BirthControl―女達の戦い―
「心配しなくてもあの子たちを、あなたに押し付けたりはしないから……

あなたはあなたの人生を生きなさい

昔のことは忘れて、幸せになってほしいの

あの子達は私が責任もって育てるから」


母が礼子をここに呼んだ理由がたった今、わかったような気がした。


父ときちんとお別れしなさいと最もらしいことを言っていたけど……


本当は自分が娘と決別するめだったのかもしれない。


礼子を縛り付けていたこの家や両親から、もう解放されなさいって……


母は礼子に言いたかったのかもしれない。


礼子は自分に生まれつつある感情に戸惑っていた。


このマンションに着いた時には、全く思ってもみなかった感情。


あの子達に会ってしまったからだろうか?


自分にされたことよりも、あの子達のこれからを大事にしたいと思う自分がいた。


だって子供に罪はない。


あの子達はあんなに無邪気で、幸せそうだった。


例え、プロセスが間違っていたとしても、この世に生まれたからには、幸せになってほしい。


母には申し訳ないけれど、母の頑張りだけでは不充分な気がした。

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