BirthControl―女達の戦い―
昔の嫌な記憶を思い出しながら、礼子はチラッと宮田を見た。
彼が何も言わずに礼子の答えを待っているのを見て、そろそろ核心に触れてもいいだろうと思った。
あまり焦らして、諦められてはもともこもない。
「わかったわ……
もし出来てたら、その時は一緒に暮らしましょう?」
礼子がようやくそう言うと、宮田は嬉しそうに笑う。
さっきまで不安気だった顔が嘘のように、礼子と一緒になれることを喜んでくれている。
ずっと一緒にいたいと言ってくれる相手と体を重ねたのは、これが初めてだった。
今までの相手は全て既婚者で、礼子の体を弄ぶのが目的の男達ばかりだった。
幸せになるためのセックスなど存在しないと思っていただけに、宮田の出現は礼子にとって奇跡だった。
別に特別好きな相手ではないけれど、どんな理由であれ自分を必要としてくれている。
それだけで、充分だった。
礼子は夢にまで見た自分の家庭を持つチャンスを、ようやくこの手でしっかりと掴んだ気がした。