BirthControl―女達の戦い―
「行ってきまぁす!」
「じゃあ行ってくるね!」
「お母さん早くぅ!」
3人の子供達がバタバタと幼稚園に向かうのを見ながら、文雄は目を細めた。
本来なら文雄の孫に当たる子供たちは、3人とも自分と妻の芳枝の養子として育てている。
おかげで文雄は隠居暮らしで、今は悠々自適に過ごしていた。
(やはり、あの時の選択は間違っちゃいなかった……)
最近、特に文雄はそう思う。
あの時、礼子に次々と男をあてがい、続けざまに三回の出産をさせたことを文雄は後悔していなかった。
男、男、女と元気な赤ちゃんを出産した後、礼子はこれ以上こんなことをするなら訴えると言い出した。
3人もいれば月に60万が黙っていても手に入る。
はっきり言って、礼子はもう用済みだった。
自分達の養子にすることを承諾すれば解放すると条件を出し、礼子はそれを呑んだあと、手切れ金として500万を要求してきた。
今後のことを考えれば、500万なんてたいした金額じゃない。
訴えられて裁判沙汰にでもなれば面倒なことになる。
それに養子になることが認められなければ、今までの苦労が水の泡だ。
そう考えて500万は借金して礼子に渡し、あの子は文雄達と縁を切って家を出ていった。