BirthControl―女達の戦い―
「あのね?しのぶちゃん……

菊地さんがどれだけいい人なのか、うちの人と比べればわかるでしょ?

あの人は一度だけじゃなく、何度も何度もあの家に通ってたんだから……

自分が悪いことしたって思うなら、菊地さんみたいにもう二度と近寄らないはずだもの

こんなことうちの恥になるから本当は言いたくないけど……

自分の罪より欲望が勝った典型なのよ、うちの旦那は」


そう言うと悔しいのか悲しいのかよくわからない顔をしてから、真希は静かに息を吐いた。


しのぶのためにそこまで言ってくれてるのはわかっていたけれど、やはり気持ちの整理がつかない。


「頭ではわかってるつもりなんですけど……

時間が……

少し冷静に考える時間がほしいです……」


伏し目がちにそう言うと、真希は納得したように頷いた。


「そりゃそうだよね?

私も初めて聞いた時は、気持ちの整理つなかなったもん……

急かしちゃってごめんね?」


しのぶは首を何度も横に振りながら、気遣ってくれている真希にとても感謝した。



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