りある♡プリンス
"コンコン"
「………」
相変わらず返事はない。
また、部屋入ってお風呂上がりだったら逃げますよ、今度こそ!
…あ、今翔さんご機嫌ナナメなんだっけ。
じゃあ返事なくて当然か。
「失礼します」
ゆっくりと扉を開けると、ソファに座った翔さんがいた。
ご機嫌損ねてるって聞いたけど、全くそんな感じはしない。
立ち上がった翔さんは、穏やかに笑いながら言った。
「また呼んですいません。まひるさんに、どうしても会いたくなってしまって」
照れるわけでもなく、さらりと言う。
「あ、そ、そうなんですか」
では、あたしは一体どうすればいいですか?
「あぁ、まひるさんに1ついいですか?」
「? …なんでしょう」
翔さんがゆっくりと近づいてきて、反射的にあたしは後ずさり。
ー…とん。
背中に壁がついてしまった。
「あのっ、翔さん?!」
距離が近いまま、翔さんはあたしの髪を弄りだした。
「…その"翔さん"て呼び方、気に入りませんね。他人みたいで」
「え」
どういうことですか、それ……?