西澤さんと文子さん


「俺は・・・叶えたい夢があって・・・その為に現実(すべて)を捨ててきたんだ。」


文子は、不安な気持ちを抑えながらも西澤の声に耳を傾け続ける。



「だから・・・指輪も渡せないし、ドレスも・・・結婚式も挙げられないと思う・・・こんな俺だけど・・・ずっと・・・一生、俺の傍にいてくれませんか?」



突然のプロポーズ
押さえ込み続けた不安が、涙となって目から出て行くように感じる文子。それと同時に、心の中は、幸せに満ち溢れていく。



「はい・・・よろしくお願いします。」



文子は、涙で潤んだ目で西澤に微笑みながらそう返答した。そして、自分から歩み寄り、西澤に抱きついた。

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