西澤さんと文子さん


「文子さん。」


西澤は、抱きついてきた文子を背中と頭に手を回し、抱きしめると「結婚してください。」と改めて文子に確認をする。すると文子は、西澤の胸元で「うん。」とつぶやくと、うずめていた首を縦に振るようなしぐさをする。西澤は、そんな文子を自分の体から少し離すと、文子の顔に近づけ、小さな唇にキスをした。



「どんなお家に住みたいですか?」
「う~ん・・・幸せだったらどんな所でもいいです。」


「私、がんばって料理覚えなきゃ(笑)」
「あの時のチョコレート、おいしかったですよ(笑)」
「本当ですか!」
「はい。文子さんの料理食べてみたいな~(笑)」
「何がいいですか?」


電車の駅に向かう間、二人は新婚生活に向けての話で盛り上がっていた。住む所、料理、そして子供のことなど・・・とにかくいろいろ。

「ご挨拶、行かないといけないですね。」
「うん。」

その時、少し曇った顔をした文子。それを察知した西澤は「どうしたのですか?」と、聞いてしまう。
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