西澤さんと文子さん


「俺は・・・その・・・気にしません、何も。」


真剣な表情で、文子にそういう西澤。そして少し震える文子の身体を抱きしめ、頭を撫でながらこういった。


「CMでもよく言っているじゃないですか“あくまで個人の感想です”って。これも、そんな感じです。」


すると、文子は声を震わせながら西澤にこういった。


「下着とか・・・気にしてないと・・・幻滅するって・・・」


それを聞いた西澤は少し呆れるようにクスッと笑うと「俺は、そんなことないですよ。」という言葉を処方した。その言葉を聞いた瞬間、文子の震えが止まった。そんな文子に西澤はこう話す。


「確かに、相手の女性に“身だしなみをきれいにしてほしい”という気持ちは、ほとんどの男性は持っていると思います。だから、下着も気にするでしょう。でも、それで幻滅って・・・その男性は、本気で“その人の心に向き合ってない”証拠だと思いますよ。」


「向き合ってない?」


「はい。どんな姿でも、どんな身なりでも、本気で好きならば“幻滅”するより“ステップアップ”するための話し合いをするでしょう。俺ならそうします。」


そういうと、文子を自分の胸元から少し離す。そして、文子の視線に自分の顔を合わせると・・・

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