西澤さんと文子さん


西澤さんとの結婚・・・

西澤さんはどう思ってるんだろう・・・


そんな不安が頭をよぎっている時、文子の視界が少し暗くなった。不安になりながらも、文子はゆっくり右側に顔を向けていく・・・見覚えのある服装が視界に入る。
今度はゆっくり頭を上げていく・・・少し顔を紅くした西澤が、ホッとしたような表情で文子を見つめていた。走ってきたのか“ハァハァ”と少し息が荒い。



「よかった・・・」



文子は、その低い声を聞いた瞬間西澤に抱きついて思いっきり泣いた。我慢していた不安な気持ちを吐き出すかのように、西澤の胸の中で泣き続けた。西澤は、動揺しながらも、そっと文子を抱きしめ「本当にすいませんでした。」と言いって、文子の頭をやさしく撫でる・・・


「携帯・・・つながらないし・・・ここ・・・動いたら・・・もっと・・・迷子になりそうな気が・・・して(泣)」


「ごめんなさい。携帯の電池・・・切れてました。気をつけます。」

「おね・・・がいします(泣)」


文子の気持ちが落ち着くまで、二人はここで少し足を止めることにした。その間も、西澤はずっと文子を抱きしめる。その時、西澤の視界にも、あのウエディングドレスが入ってきた。

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