『さよなら』から始めよう



駐車場から離れた
アパート


ゆっくりと歩く先に
待ち侘びた幻が
佇んでいる


眼差しから消えてしまわぬよう


瞬きもせず
幻を視線に捕え
距離を縮める


「何やってんだ」


幻に話掛ければ
驚いた顔の徳子が
振り返り


唖然とした口を開け


「仕事は?」


ほら 以前と変わらぬ
君に戻る



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