Over Line~君と出会うために
「だって……」
「だって、じゃねえだろ。別に、俺はお前がどんな彼女を作ろうと、それが常識の範囲内なら止めるつもりはないね。俺はお前が簡単に今の自分を放り出すような小さい器の奴だとは思ってないし、そういうお前について来れないような女なら、正直言って、今のお前には不要だとは思ってる。ただな、俺はREAL MODEのプロデューサーだから、お前も含めた全員で作り上げた〝東城貴樹〟っていう偶像を壊すつもりなら、それは、全力で止める」
「……」
貴樹は答えられずに、天宮から視線をそらす。
「今、お前にとって一番大切なものは何だ? 目の前にあるツアーじゃないのか。それを成功させるために、お前はどれだけの努力をしてきた? お前が今やるべきことは、ツアーをこなすことだろ。それ以外のことは、何かが起きてから考えろ」
「順平ちゃん……」
「何だ、答えられないのか? まさか、前の彼女みたいに捨てられたらどうしよう、とか、そんな純情一直線なことでも考えているわけか?」
図星を指され、貴樹はぐっと言葉に詰まってうつむいた。
自分で純情なのかどうかなんてことは、考えたことはない。だが、その一件が貴樹の中で尾を引いていることは事実で、それは天宮も知っている。
以前に、付き合っていた恋人。こうしてデビューする前からの付き合いで、ひとつ年下だった。彼女となら、もしかしたら、いずれは結婚するのかもしれないと、当時はぼんやりながらも考えていた。
「だって、じゃねえだろ。別に、俺はお前がどんな彼女を作ろうと、それが常識の範囲内なら止めるつもりはないね。俺はお前が簡単に今の自分を放り出すような小さい器の奴だとは思ってないし、そういうお前について来れないような女なら、正直言って、今のお前には不要だとは思ってる。ただな、俺はREAL MODEのプロデューサーだから、お前も含めた全員で作り上げた〝東城貴樹〟っていう偶像を壊すつもりなら、それは、全力で止める」
「……」
貴樹は答えられずに、天宮から視線をそらす。
「今、お前にとって一番大切なものは何だ? 目の前にあるツアーじゃないのか。それを成功させるために、お前はどれだけの努力をしてきた? お前が今やるべきことは、ツアーをこなすことだろ。それ以外のことは、何かが起きてから考えろ」
「順平ちゃん……」
「何だ、答えられないのか? まさか、前の彼女みたいに捨てられたらどうしよう、とか、そんな純情一直線なことでも考えているわけか?」
図星を指され、貴樹はぐっと言葉に詰まってうつむいた。
自分で純情なのかどうかなんてことは、考えたことはない。だが、その一件が貴樹の中で尾を引いていることは事実で、それは天宮も知っている。
以前に、付き合っていた恋人。こうしてデビューする前からの付き合いで、ひとつ年下だった。彼女となら、もしかしたら、いずれは結婚するのかもしれないと、当時はぼんやりながらも考えていた。