Over Line~君と出会うために
「彩、その、俺、仕事ってのは……」
 言いかけて、言いよどむ。どう説明をすれば、嘘っぽく聞こえずに真実を告げられるのだろう。彩の追及に困って、言い逃れるために嘘をついていると思われたら。
 真実を言おうとすればするほど、滑稽なことにしかならない気が、して。
「言いたくないのなら、別にいい。でも、少し考えさせて」
「そうじゃない! 俺は……っ」
 声がかすれて、喉に張り付く。さっきから少し違和感のあった声が引っかかって、貴樹はむせて咳き込んだ。思い出したように襲ってきた全身の疲労感に、力が抜ける。そのまま、ベッドに倒れ込んだ。
「……貴樹?」
「ごめん、ちょっと、むせた……」
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