ひだまりHoney

ロッカーの鍵を差し込んでから、私は持っていた紺野さんの名刺をじっと見つめた。

嬉しくなってしまって、自然と口角が上昇した。

私は名刺を、開いた扉の奥にある自分の鞄ではなくてポケットの中へと忍ばせた。

持っていたかったのだ。

「さてと、財布!」

鞄を引きずり出し、財布を探し始めた時、更衣室の扉が開いた。

何となく目を向けた瞬間、上がり気味だった口角が急降下する。

女性が三人入ってきたのだが、そのうちの一人が先ほど紺野さんに耳打ちをしていた人だったからだ。

彼女も私に気がついたらしく、しかめっ面になった。

彼女たちは細い通路を通り、奥の列に姿を消したが、ロッカーの向こうから声が聞こえてきた。

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