ひだまりHoney
「一応聞いたまでです。さ、僕たちも帰りますか。珠洲さん、乗っていきますか?」
「いっ、いえ! 私は電車で帰ります。お疲れ様でした」
深く頭を下げた瞬間、大田原さんのスマートフォンがぴりりと着信を告げた。
大田原さんは私に微笑みを送ってから、そのまま背を向け、ゆったりとした足取りで場から外れた。
チャリンと音が鳴る。反応し目を向ければ、シルバーの鍵がきらりと光った。
鍵のついたキーホルダーの輪っかを指にかけ、弄ぶかのようにくるくると回す。
指が長いな、とそんなことをぼんやり思っていれば、紺野さんの手が鍵を掴み取った。
鍵を閉じ込めた手から、ゆっくりと視線を上げれば……目が合ってしまった。
物言いたげな瞳が視界に入り、反射的に見なきゃ良かったと後悔する。何かしら言いつけられそうな気持ちにさせられる。