ひだまりHoney
「あのさ――」
「お疲れ様でした!」
言葉を遮るべく勢いよく頭を下げ、私は逃げるように駅へ向かって歩き出した。
時計を確認すれば、もうすぐ十時になろうとしている。
駅までそれほど距離はない。
駐車場や自動販売機の前に、ぽつりぽつりと人がいる。
家族連れだったり男女の組み合わならば良いのだけれど、男の人が一人だったり、または複数いたりするとちょっと恐い。
私は歩きながら鞄を開け、中から真っ白な紙を取りだした。
紺野さんの名刺である。
この前破かれてしまったあれだ。
ディスプレイを手直しする傍ら、私は散らばっていた破片をこっそりと回収した。
もちろん、捨てることなど出来るはずがない。
帰宅後、セロハンテープで補修をしたのだが、切ないほど不格好になってしまった。