ひだまりHoney

『俺、お前に迷惑掛けるかもしれない』

どういう意味なのだろうか。聞きたいけれど……恐くて聞けない。

彼の心の中に違う紺野さんがいて、その見えない部分が露わになってしまうようで恐い。

希世さんとは、どんな話をしているのだろうか。

優しく笑って、その低い声音で「希世」と甘く囁くのだろうか。

じいっと見つめていると、紺野さんが私の視線に気付いた。

彼も私を見つめ返す。

「なぁ。俺の名刺、まだ持ってる?」

張り詰めた声で問いかけてきた。

「……はい。持ってます」

ポケットからお財布を出し、中から名刺を取り出せば、紺野さんが手を差し出してきた。

「返して」
「え?」
「新しいのやるよ」
「いっ、嫌です! 絶対、嫌です!」

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