ひだまりHoney

「やった！　いただきます！」

けれど、紺野さんが嬉しそうに目を輝かせたのを見て、ホッとする。

私のお箸の上側で、紺野さんは唐揚げを掴み取った。

モグモグと咀嚼する紺野さんはちょっとだけ幸せそうで……なんだか可愛らしく見えた。

「夜ご飯か……あれ？　平加戸は実家から通ってるの？」
「いえ。弟と二人暮らししています」
「じゃあ、これは平加戸の手作り？」
「お口に合わなかったら、すみません」
「いや、旨いよ……腹減ってるから」
「旨いよ、で止めて下さい。後は余計です」

今の平和な表情を見ていると、あの時の紺野さんは見間違いだったのかと思えてくる。

イベントのあった夜、見ているこっちが苦しくなるほど、彼の顔は切な気だった。