ひだまりHoney
夕闇に包まれ始めた駐車場は、地獄への入り口のように見えた。
鞄の中で携帯が鳴り響いた。
勇弥君の手に力が込められ、私は持っていたバックを地面に落としてしまった。
自分の所持品の如く、勇弥君は私のバックを掴み上げ、開けた。
「返して!」
携帯を取り出し着信相手の名前を見て、勇弥君が鼻で笑った。
「紺野?……何? お前アイツと繋がってんの?」
「別に良いでしょ!? 携帯返してよ!」
取り戻そうと試みるが、力任せに腕を引っ張られて、バランスを崩し倒れそうになる。
勇弥君は鳴り響く携帯片手に、駐車場を突き進んでいく。
一番端に停車していた車の側面に辿りついた瞬間、背中に痛みが走った。
同時にゴンッという鈍い音が体の中で振動した。