ひだまりHoney
一瞬、息が詰まって、視界が白けた。
ワンボックスタイプの車に、私は力任せに押しつけられていた。
叫ぼうとすれば、口を手で塞がれる。
勇弥君は携帯を通話ボタンを押し、耳に当てる。
でも一言も喋らない。私を見下ろす目も「喋るなよ」と言っている。
『平加戸!? まだ近くにいるよな? 誤解したまま、帰るなよ! 約束したろ?』
あはははと、勇弥が楽しそうに笑った。
「はい。残念でした」
それだけ言うと、彼は携帯を放り投げた。
取りに行こうと勇弥君の力に抗うが、やっぱり敵わない。
突き飛ばされるように、車にぶつけられる。さっきよりも強い痛みが背中を襲う。
「約束? 誤解?……お前もしかして、彼女がいること聞かされてなかったとか?」