ひだまりHoney
遠くで大田原さんの声がした。
「止めなさい!」
「晃、離せ! 俺、こいつ許せない!」
「落ち着きなさい」
「離せって!!」
「一体どうして…………す、珠洲さん?」
大田原さんの視線を感じ、私は蹲った。
「紺野、お前。俺を殴って良いのか!? フットサルのメンバー足りないんだろ!?」
「ふざけんな! お前なんか願い下げた!」
「はぁっ!? お前がどうしてもって言うから、予定空けてやったんだろ!? そっちこそふざけんなよ」
ジャリッと靴底が砂を噛んだ。
「おい、待てよ! 逃げんな! 晃、離せってば!」
「待つのは晴暉です! 僕はあの男を追いかけるより、珠洲さんをそこから連れ出すことが先決だと思います」
大田原さんの言葉に続いて、少しの沈黙があった。