ひだまりHoney

「仕事って言ってあるの?」
「うん。晴暉の会社の近くにある公園で待たせてる。あとちょっとだから待ってって返すわ。雨の中、待たせてやるわよ。風邪引くまで」

酷い。

「姉ちゃん! 行こう!」
「うん……行く、けど」

弟の大声に返事し、私はまた希世さんに目を向けた。

レーンの隙間から見開かれた瞳が見えた。すぐに彼女は立ち上がった。

「あ、あなた……」

何か言ってやりたかった。

でも、怒りで言葉が出てこなかった。

私は踵を返して、レジに向かう。

「凉太」
「ん?」
「ちょっと走ってくる」
「は!?」

会計を済ませ、私は店から飛び出した。

降り落ちてくるのは小雨だけれども、道路はとても濡れている。

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