ひだまりHoney
希世さんは鼻で笑い、肩を竦めた。
「純情ぶってれば、晴暉が手に入るとでも思ってるのかしら。絶対無理なのに。可愛そう」
「純情そうな顔して実はって人いるじゃない。寝取られたりするかもよ」
「大丈夫。あの真面目男は、私との関係がきっちり切れない限り、女に手を出したりしないから。出来ないの。それ分かってるから、平気」
紺野さんの震えと葛藤を、指先が思い出す。
私は自然と唇を噛みしめていた。
「今回も食い下がってやる。そしたらまたもういいやってなるから。晴暉を今さら逃さない。仕事頑張って少しでも上に行ってもらって、私の未来の専業主婦生活をさらに安定したものにしてもらわなくちゃ」
短く鳴ったスマホを手に取り、希世さんは笑みを浮かべる。
「晴暉からメール。仕事、あとどれくらいかかりそう? 無理そうなら、今日は帰るけど……だってさ」