ひだまりHoney
口ぶりがいつもと違っている。落ち込んだ声音に、中に入るのを躊躇ってしまう。
大田原さんが「しっかりしてください」と声を掛けるその横で、紺野さんは「今すぐ電話するよ」とデスク上の書類をあさっている。
前髪をかき上げたその下に、苦悶の表情が見えた。
最近何度も、その顔を見る。
失敗したと後悔する表情に、胸が重苦しくなっていく。
「やば、出ない……とりあえず、メールだけしておくよ。月曜の朝一にまたかける」
ため息交じりに受話器を置いて、紺野さんはノートパソコンを起ち上げた。
誘わなくちゃと思っているのに、踏ん切りが付かない。五分後に出直すべきだろうか。
ヤキモキしていると、画面を覗き込んでいる紺野さんに女子三人が近寄っていった。