ひだまりHoney

両手を組んでモジモジする彼女たちは、どれも事務で見た顔である。

「紺野さん。大田原さん」

甘ったるく可愛らしい声へと、紺野さんと大田原さんがほぼ同時に顔を向けた。

「今日はもうお仕事終わったんですよね? 金曜日ですし、一緒に食事でもどうですか?」

疑問符と共に、ちょこりと顔を斜めにする。

見ていた私も、つい顔を斜めにしてしまった。

しまった。先を越された。どうしよう。

「すみません。今日は先約があるので」
「えー。なんだぁ、そうですか。残念。紺野さんは? 私たち三人とこれからどうですか?」
「あー、ゴメン。俺も先約が」

大田原さんはやんわりと、紺野さんは苦々しく受け答えする。

< 366 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop