ひだまりHoney
二人はおもむろに財布を取り出すと、大田原さんと同じように、テーブルにお金を置いた。
「俺ら、店変えまーす」
「またねー、平加戸ちゃん。フットサルの練習日に会いましょ」
それだけ言って、二人はもみ合いながら私たちの前から姿を消した。
「の、残されちゃいましたね」
「だな」
気恥ずかしさを感じながら、まだ飲みきっていなかった自分のお酒を口に含んだ。
「あのさ……さっきはありがとう」
何のことかと視線を投げつければ、紺野さんが照れたように笑った。
「俺のこと好きって言ってくれて」
「っ!?」
ごほごほとむせかえれば、優しい手が背中を労るように叩いてくれた。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫じゃないです! ど、どうしてそれを!」
その言葉は、希世さんに言ったものだ。