ひだまりHoney
「はい……凉太君、面白いな」
「……全然、面白くないです」
戻ってきたスマホを睨み付けてから、私は肩を落とす。
ホームに到着した電車に乗り込み、空いている座席に二人揃って腰を下ろした。
座るやいなや、紺野さんが思い出し笑いをする。
「今度会ったら、凉太君にあげようかな」
「え?」
「この前、晃がくれたんだ。これ薄くて良いんですよって、コンドー……」
目を細めれば、紺野さんの顔色が青くなっていく。
「あ、ご、ごめん。女相手にする話じゃないか。ごめん」
違う。そういう意味で睨んでるわけじゃない。
「べ、別に……あげなくても良いじゃないですか」
か細い声でそれだけ呟いて、私はそっぽを向いた。
「そうだな。俺らで使えば良いか」
聞こえてきた言葉に、ますます紺野さんが見られなくなった。
俺ら。紺野さんと私。
考えただけでも、頭に血が上っていく。