ひだまりHoney
大田原さんが諭すように言えば、ミーティングルームの扉がゆっくりと開き、その隙間から二人の男の人が顔を覗かせた。
「痴漢だって」
「よくあるよね。真面目な人ほど実は、って」
「上司が痴漢常習者なんて、有り得ない」
「俺たちが責任持って、紺野さんを警察に連れてくしかないよ」
真面目な顔で交わされる会話に、彼は目を細め、口元を引きつらせた。
「お前ら、覚えとけよ……こき使ってやる」
ひぃぃと叫びながら、二つの顔は扉の向こうに消えていく。
大田原さんに晴暉と、そして見知らぬ二人からは紺野さんと呼ばれたその男性は、ため息をつきながらバラバラになった書類を拾い始めた。