ひだまりHoney

頭を下げ、帰ろうとしたけれど、誰かが焦った様子で私の前に立ちはだかってきた。

「わぁ、もう帰っちゃう? 用事ある? 残業仲間に入らない?」

桃宮さんだったか、松戸さんだったか……まだ区別がついていないけれど、私と同じ仕事のメンバーの彼が立っていた。

「ごめんなさい。帰ります」
「今日、メンバーが二人も体調崩して休んじゃって、このままだと……」

私が運んできた茶色い包みの山をちらりと見て、彼は大きく息を吐いた。

「俺、ミスっちゃって。コレ全部、訂正しなくちゃいけないんだよ。明日の朝までに」
「……えっ」

もくもくと二人の女性がパンフレットのとあるページを開き、修正テープを貼り付け、ペンを走らせている。

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