ひだまりHoney
「私たちは、やってもあと一時間だけですからね」
そのうちの一人が顔を上げ発言すると、もう一人が頷いた。
「分かってる。一時間だよな……でも一時間あれば、それぞれ今開けた袋のぶんの二百冊くらいは楽勝だな」
紺野さんがそう言うと、二人はぐっと声を詰まらせ、再び手元の作業に没頭する。
私は心配になり、ちらりと紺野さんを見た……見てしまった。
目が合ってしまった。
「な、運んできたついでに、作業してく?」
「いえ。これ重くて腕が痛いので、もうペンは持てないかと」
「湿布買ってきますけど?」
互いに曖昧な笑みを浮かべると、後ろでふふっと笑う声が聞こえた。
「ごめんね、晴暉。珠洲さんは、今から僕たちと食事会なんだ」