理想の恋愛関係
「何がおかしいの?」


優斗君が笑った意味が分からずに聞く。


「いや、随分はっきりと言うと思って。感じが悪いって……」

「あ、それはつい……なんだか優斗君に対して攻撃的だったし……」


弁解する様に言うと、優斗君はどこか悲しそうな顔をして「そうだね」と言った。


「あの人は、高柳華子さんだ。
緑さんも名前は聞いた事が有るだろ?」

「え? 高柳って……あの高柳グループ?」


私は驚いて優斗君を見た。


高柳と言えば様々なジャンルの会社を傘下に持つ、巨大グループだ。


その規模は、兄の会社とは比べ物にならない。


実際に会った事は無かったけど、兄から話は聞いた事が有った。


「でも……どうして高柳さんは優斗君に対してあんな態度なの?」


優斗君を見下したような、かなり失礼な態度に見えた。


「……俺が悪いんだ。あの人を怒らす事をしてしまったから」

「またいい加減な事するなとか言ってたけど……」

「ああ、俺はどうしようも無い人間だと思われてるからね」


自嘲する様に言う優斗君を見ていると、高柳華子への苛立ちが湧いて来た。


何が有ったのかは分からないけど、沢山の人が居るレストランであんな態度をとるなんて。


あんな事会う度にされたら、優斗君が恥をかいてしまう。


それにきっと優斗君は傷ついている。


口にはしないけど、顔を見ていれば悲しい想いをしているのは分かる。


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