理想の恋愛関係
見合い席のホテルで、思いがけずに優斗君に会った。


優斗君はスーツ姿で、部下と思われる男性と居たから仕事だったのだと思う。


相手が来るまでに時間が有ったから、化粧室に行ったんだけど、その移動中にまさか優斗君と遭遇してしまうなんて。


いつもは会いたくて仕方ないけど、今日だけは別だった。


浮気な女と思われたくないから、優斗君には見合いの事は言わないでいたから。


兄の希望で、若作りな振袖姿だったから誤魔化す事も出来なかった。


あっさり見合いだと見抜かれ、それもショックだったけど一番は優斗君が全く何も感じていないところだった。


優斗君にとっては私が誰と付き合おうが、どうでもいいのかもしれないけど、それにしても素っ気ない態度に落ち込んだ。


最近は、随分と距離が縮んだと思っていたのに。


「早く戻ったら」


そう言われた瞬間、突き放された気がして焦ってしまった。


状況も忘れて優斗君にすがりついて、告白してしまった。


最近は、押し付けがましくならない様に気を付けていたのに。


一瞬で台無しになってしまった。


優斗君は呆れた様な顔で、戻るようにと諭して来た。


私は心底落ち込みながら、フラフラと兄の待つ席に戻った。
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