理想の恋愛関係
「高山鈴香です。話は緑から聞いています」


鈴香は挨拶を返しながら、さり気なく優斗君を観察している。


どう感じているのか分からないけれど、高評価は間違い無いだろうと思った。


この集まりに来ている男の中では、優斗君は際立っているし、私が今まで付き合って来た男の様な軽さも無い。


少し嫉妬すらされるかもしれない。


鈴香も同じ年の独身だし、結婚だって人事じゃないんだから。


そんな風に都合良く考えていたけれど、二人きりになった途端に鈴香は全く反対の事を言って来た。


「ねえ、あの彼さ……大丈夫なの?」

「え? 何が?」


鈴香は気まずそうな顔をしながらも、遠慮無くはっきりと言った。


「なんか、緑に関心無さそうに見える。本当に上手くいってるわけ?」

「上手くいってるわ! 今日だって付き合ってくれたし、いつも優しくて嫌な事は言わないし……」


ムッとして言い返すと、鈴香は呆れたような顔をした。


「それって関心無いからじゃないの? 緑に興味が無いから文句も無いんじゃない?」


鈴香の言葉に心臓がドキリと跳ねた。
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