理想の恋愛関係
「はじめまして、栖川緑と申します」


内心とはうらはらに、余裕の笑みを作りながら言う。


「あ……はじめまして」


吉澤留美は、私を値踏みする様な目で見た後、微妙な角度に頭を下げた。


……やっぱり、この子優斗君に好意を持ってる。


私に向ける視線で分かる。


絶対にただの同僚じゃない。


今すぐに優斗君の気持ちを確認したいのを、理性を総動員して耐えて店を出て行く二人を笑顔で見送った。



「よく我慢したね。緑も成長してるよね」


優斗君達の姿が見えなくなった途端に、鈴香が言った。


「……あの子、優斗君の事狙ってるわ!」


そう言うと、鈴香も同意した。


「そうみたいね。でも仕方ないんじゃない? 年の割には地位も収入も高いし、一見して家庭に問題が有る風には見えないしね」

「……そりゃあ、優斗君は素敵だからもてるだろうけど……でも会社の子が相手じゃ私が不利じゃない! 向こうは毎日長い時間優斗君と一緒に居られるんだから」


仕事中だって、いくらでもアピール出来る。


―部長、お茶をどうぞ。今日は部長の好きなほうじ茶を特別に入れました―


とか言って接近して、優斗君を癒やして好感度を上げたり……。


それに比べて最近の私は、遠慮してばかりで存在感が薄くなっている気がする。


このままじゃ、優斗君は彼女と付き合ってしまう!
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