理想の恋愛関係
気を取り直して、私は落ち着いた口調で言った。


「あの……昼間に一緒に居た子は優斗君の部下なの?」


はっきりと、「優斗君にとってどんな存在なの?」と聞けない自分が悲しい。


返事を待つ数秒が、とても長く感じる。


優斗君はそんな私の不安に少しも気付かずに、気楽な調子で言った。


「一応ね、直属じゃないけど……彼女は庶務的な仕事をしてくれてるんだ」

「そうなの……」


二人きりでランチをしていたのはなぜ?


続けてそう聞きたいのに、なかなか言葉が出て来ない。


優斗君にはもう何度も告白して振られて、今更怖い事や恥ずかしがる事なんか無いはずなのに、臆病になってしまう。


これは友達と言う微妙なポジションのせいかもしれない。


以前は失うものは無かったけど、今はやっと手に入れた、友達という立場を失いたくない。


でも……彼女の事は気になって仕方ない。


葛藤していると、優斗君は怪訝そうな声を出した。


「緑さん?」

「あ、あの……お母さんは元気?」


全然関係無い事を聞いてしまった。


「ああ、以前よりは落ち着いているよ」

「そう、良かったわ」


お母さんの事は気になっていたから、それはそれでホッとした。
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