理想の恋愛関係
高柳華子は、私の目の前で立ち止まると気楽な調子で言った。


「久しぶりだね、こんな所で会うとは思わなかったよ」


私だって会う予定は無かった。


そう言いたいのを堪えて、作り笑いを浮かべる。


「高柳さん、お久しぶりです」

「今日は優斗と一緒?」


分かっているくせに、わざわざ確認して来る。


「はい」


ニコニコとしながら、すぐに答えた。


言いたい事は山程有るけれど、この人に逆らって揉めたら優斗君に迷惑がかかる。


それに、兄の立場も悪くなるかもしれないと、ほんの少しだけ考えた。


余計な事は一切言わずに時間だけ稼ごう。


そうすれば優斗君も気が付いて、こっちに来るはず。


そんな事を考えていると、高柳華子の遠慮のない声が聞こえて来た。


「優斗と付き合ってるの?」

「えっ?!」


な、なんてストレートに聞いて来るんだろう。


この人に気遣いって発想はないのだろうか。


「優斗は友人だって言ってたけど、どうなの?」


どうなの? って言われても……優斗君がそう言っている以上友人ってわけで。


「二ノ宮さんとは親しくさせて頂いています。
良い友人だと思っています」


そんな事微塵も思っていないけど、仕方ない。


変な事言ったら、また優斗君が嫌みを言われてしまう。


高柳華子は、呆れた様なため息を吐いて言った。
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