理想の恋愛関係
こんな所を優斗君に見られてしまうなんて。


笑顔で優斗君を迎えて、仲良くレストランに移動して……思い描いていた予定がガラガラと崩れ去っていく。


どこから聞かれていたんだろう。


聞こえなかったとしても、龍也を睨み付ける鬼のような顔は見られたに違いない。


ああ……せっかくの夢のデートのはずだったのに。


告白する予定だったのに。


失望と同時に、龍也に対する抑えられない怒りがムクムクと湧いて来る。


怒鳴りつけたい気持ちで龍也に目を遣る。


龍也は気まずそうにするどころか、なぜかニヤリと笑って優斗君に話しかけた。

……今度は何を企んでいるの?


ハラハラしながら龍也の言葉を待つ。


本当は待つ間もなく追い払いたいけど、優斗君の目の前でそれは出来ない。


龍也はもったいぶりながら言った。


「二ノ宮さん、こんな所でお会いするとは思いませんでした。今日は緑と待ち合わせですか?」


わざとらしすぎる!
しかも、緑って……優斗君の前で馴れ馴れしく呼ばないで欲しい。


「……え?」


優斗君も驚いた様子で、眉をひそめながら私を見る。


「あ、あの、優斗君……これは……」


何か言わないといけないのに、上手い言葉が出て来ない。


慌てる私を横目に、龍也が躊躇いもなくサラッと言った。


「緑がボンヤリ立っていたから話しかけたんですよ。緑から聞いていると思いますが、俺達付き合ってたんで」
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