理想の恋愛関係
トイレに入り、壁の鏡を見た瞬間、心の中で大悲鳴を上げた。


ちょっと考えれば分かるはずだった。


気合いの念入りメイクをした状態で散々泣いたのだから。


マスカラが滲んで黒くなった目の周り。


その中心の酷く浮腫んだ目。


乱れて、静電気まで起きてしまっている髪の毛。


こ、こんな姿で優斗君とキスしたいと思ったなんて……。


トイレに行けって言われて当然だと思った。


心底落ち込みながら、髪を整え、メイク直しをする。


でも今更取り繕って、「お待たせ」なんて気取って出て行ったって優斗君の記憶からこの酷い顔は消し去れない。


優斗君が好きだと言ってくれる事なんて、二度と無いかもしれないのに。


ああ、時間を戻したい。


あの、「緑さんを好きになった」って言われた瞬間に帰りたい。



なんとかおかしくない程度まで外見を整えると、私はかなり複雑な気持ちになりながら優斗君の待つロビーに向かった。
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