理想の恋愛関係
「時間、大丈夫?」

「あ、もちろん大丈夫」


私がそう言うと、優斗君は公園に向かって歩き出した。


鼓動が早くなるのを感じながら、小走りに優斗君の後を追った。




公園の中は思った通り、数組の恋人達の姿が見えた。


私達も傍から見たら、仲の良い恋人同士に見えるのだろうか。


そんな事を考えてると優斗君に呼ばれ、池の近くのベンチに腰掛けた。


「たまにはこういう所で、静かに過ごすのもいいな」

「うん……風が気持ちいい」


そうしてしばらくゆっくりとして私が落ち着いたのを確認すると、優斗君は穏やかな口調で話し始めた。


「さっきはちゃんと最後まで話せなかったけど、俺は緑さんの事が好きだよ。さっき神原さんと居る所を見てはっきりと自覚した」

「……!」


今度こそ返事をしないといけないのに、緊張し過ぎて声が出ない。


「本当はもっと前から好きだったのかもしれないけど、最近は一緒に居る事が当たり前に思えて深く考えていなかった」

「わ、私は……」

「ごめん、緑さんの気持ちは聞いていたんだからもっと早くちゃんと考えるべきだったのに」


優斗君に見つめられて、そう言われ、もう泣かないと決めていたのに涙が溢れて来るのを止められなかった。
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